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aito edited this page Aug 6, 2026 · 3 revisions

DESIGN.md とは何か

コーディングエージェントに、ビジュアルアイデンティティを持たせるための1ファイルです。

このページは趣旨と全体像を扱います。書き方の手順・スキーマ・ツールの使い方はリポジトリの docs にあります。

:::message 引用について: 本家の PHILOSOPHY.md は英語で書かれています。このページの日本語の引用は筆者による訳です。原文は本家リポジトリを参照してください。 :::


解こうとしている問題

エージェントに UI を作らせると、毎回違うものが出てきます。

「モダンで、クリーンで、信頼感があって、プレミアムな感じで」と指示する。悪くないものが出てくる。翌日また頼む。また悪くないものが出てくる。でも昨日のものとは違う。

原因は指示の側にあります。「モダン」「クリーン」は領域を指す言葉で、点を指していません。モデルはその領域の真ん中あたりに何かを作ります。真ん中は毎回微妙にずれますし、そもそも真ん中は凡庸です。

DESIGN.md は、この「毎回ずれる」を止めるために、視覚的な意図を1つのファイルに固定して持ち回れるようにしたものです。人間が読めて、書き直せて、変更履歴が残ります。


2つの層でできている

┌─────────────────────────────────────┐
│  トークン(機械可読)                 │
│  色・書体・余白・角丸の具体的な値      │
├─────────────────────────────────────┤
│  散文(人間可読)                     │
│  なぜその値なのか / どこに使うのか     │
│  そして、どこに使ってはいけないのか    │
└─────────────────────────────────────┘

上だけなら、既存のデザイントークン形式で足ります。DESIGN.md の本体は下です。


中心にある、少し意外な主張

トークンを扱うファイル形式なのに、本家のドキュメント(PHILOSOPHY.md)はこう言い切ります。

生成されたデザインの品質は、値の精度よりも、意図がどれだけ明確に記述されているかで決まる。

そして踏み込んで、

トークンの値はコンテキストであって、レンダリング指示ではない。 一般に、仕様の中でトークンの要件を定めることは受け入れないし、推奨もしない。

理由は「先行する言語やツールが積み上げた数十年の仕事を再発明しない」ため。

CSS も Tailwind も既にあります。DESIGN.md が引き受けるのは、それらが引き受けられなかった「なぜその値なのか」の方だ、という立て付けです。

→ 詳しくは 思想


デザイナーにとって何が変わるか

あなたの意図が、あなたのいない場所で生き続けます。

これまで、デザインの意図は Figma のファイルと、口頭の説明と、レビューでの指摘に分散していました。実装する人が変われば伝わりません。エージェントが実装するなら、なおさら伝わりません。

DESIGN.md は、その意図をエージェントが毎回読み直す場所に置きます。

具体的に変わるのは、書くものの中身です。

これまで書いていたもの DESIGN.md で書くもの
#B8422E この赤は唯一のアクセントで、図版の中だけに棲む。文字にもページ番号にも使わない
角丸 4px 建築的な鋭さ。モダンに見える最小限だけやわらげ、それ以上は丸めない
フォント指定 この書体は制度的で信頼できる声を出すために選んでいる

左は Figma でも表現できます。右は、これまでどこにも書く場所がありませんでした。

そして右こそが、書いていない場面でエージェントが判断を誤らないために必要なものです。


一番効く書き方: 形容詞ではなく、具体的な参照

これが DESIGN.md の技術的な核心です。

「1970年代の、古い伝統ある大学の大学院講義ハンドアウト」は完結した世界を喚起する。一色のインク、たっぷりの余白、読みやすいサイズのセリフ、装飾の不在。その一文が、十数個の数値より多くの有用な情報を運ぶ。値の背後にある理由を運ぶからだ。

形容詞は領域を描き、具体的な参照は点を描く。

さらに強力な副作用があります。具体的な参照は、禁止事項を無料で運んできます。

モデルは講義ハンドアウトが何であるかを知っており、それが何でないかも知っている。グローもグラデーションも使わない。列挙する必要がない。犬と名指せば、犬が鳴かないことも伝わる。

「禁止リストが長くなってきた」と感じたら、それは参照が曖昧だったサインです。禁止を足すより、参照を具体化する方が早く解決します。


誰が何を書くか

DESIGN.md は1ファイルですが、書く人は分かれていて構いません。

セクション 主に書く人 中身
Overview デザイナー(不在なら全員で合議) 参照。ここが全体を決める
Colors / Typography / Shapes デザイナー 役割と、使ってはいけない場所
Layout / Elevation デザイナー 密度と階層の考え方
Components デザイナー + エンジニア 状態と、その意図
Do's and Don'ts 全員 運用で気づいた違和感を1行ずつ足す
Known Gaps 全員 まだ決めていない領域の宣言

Do's and Don'ts が全員なのは意図的です。 「良いものを作る」より「違和感を指摘する」方が、人間は得意で、しかも訓練を要しません。気づいた人がその場で1行足せる形にしておくと、資産が溜まります。


何をしないか

期待の輪郭をはっきりさせておきます。

  • コンポーネントライブラリは作りません。 MUI や shadcn などは別途必要です
  • Figma と同期しません。 Figma へ戻す経路は用意されていません
  • 情報設計やインタラクション設計は対象外です
  • 出来上がったものが良いかどうかは判定しません。 検証ツールは値の整合性を見るだけで、散文(=本体)は読みません

最後の点は重要です。「検証を通った」ことは「良いデザインである」ことを意味しません。


もっと読む

この Wiki(趣旨と背景)

  • 思想 — なぜ散文が主で、トークンが従なのか
  • 実物から見えること — 実在する74件を測った結果。公式サンプルが実は外れ値だった話

リポジトリ(実務)


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